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「カメラを止めるな!」上田監督と語る、縦型ショートフィルムが拓く企業の未来

10/30(木)に、PICORE株式会社 上田監督と、同社の小塩さんをお招きして、「縦型ショートフィルムが拓く企業の未来」をテーマにしたイベントを開催しました。

終了後のアンケートでは、

縦型ショートフィルムにおける上田監督の狙いを掴むことができたから。また、クライアントが存在する案件動画としてのクオリティ担保のための努力を知ることができた。

小塩先生のAIに関する知見を噛み砕いて話してくれたのがよかったです。AIに見つけてもらえるようなコンテンツを作っていきたいと思いました。

というような感想が見られました。

本noteでは、イベントで話された「縦型ショートフィルムとは」「AIの発展でコミュニケーションはどう変わるのか」などについてご紹介いたします。

縦型ショートフィルムとは

ーー縦型ショートフィルムとは

小塩:2017年にTikTokが日本でサービスを開始して以降、「縦型短尺動画」が広まってきました。2021年にはTikTokのユーザーが10億人を突破し、その他のSNSでも「縦型短尺動画」がサービスとして展開されていきました。

スマホに最適化された作品になっていて、特に10代から20代の多くの人が「縦型短尺動画」の視聴に時間を投下しています。中には、数百万回から数千万回視聴されるコンテンツも生まれているほどです。

上田:僕が縦型ショートフィルムを作り始めたきっかけは、2年ほど前にTikTokの「#ショートフィルム」というキャンペーンのアンバサダーにお声がけいただいたことでした。その時は自分が縦型ショートフィルムを作ったことがなかったので、作ってみようと。

その経験を経て自主制作した「レンタル部下」という作品が、カンヌ国際映画祭とTikTokが開催した縦型ショートフィルムのコンペティションで、グランプリを獲得しました。

ーー情報過多の時代に、情報を発信する難しさとは

上田:10年前も劇場映画のライバルは、After5のすべてのサービスでした。スマホが出てきたことでライバルはさらに広がっています。コンテンツが世の中にありすぎて、誰もが見ているエンターテインメントがない、という時代になっているのかなと思います。

始める敷居が低くなった分、抜きん出ることはすごく難しくなりました。その中で僕は、賞味期限の長いものを作る、ということを意識しています。今はコンテンツの消費が激しくて、話題になっても1回見て終わり、という感覚があります。そうではなくて、何度も見たくなるような作品を作りたいなという気持ちを持っています。

面白かった、というだけでは1回で終わってしまうので、プラスアルファを如何に生み出せるかが重要です。

ーー企業の発信も、単に情報発信では届かなくなっていますよね

上田:物語にする、ということは一つ重要なのかなと思います。

小塩:私が大学の教員をしていて、授業で上田監督の作品を使うことがあります。AIが出てきた時にそれぞれがどう感じるのかをただイメージすることは難しいですが、「キミは誰?」のような物語を通すことで、こういうのは嫌だ、こういうのは好き、など価値観をより言語化しやすくなります。企業の発信でも物語を通すことで、より届けたい人に具体的なイメージを持って届けることができるのかなと。

上田:僕自身の作品も、縦型ショートフィルムを入口に、映画も見てみますと言ってもらえることもあります。短い物語を入口にすることで、より深いメッセージも届けられることもありますね。

ミライフショートフィルム制作の裏話

ーーミライフがブランディングを通じて実現したかったことは?

佐藤:ミライフもメンバーが増えてきて、良い仕事も増えてきました。ただブランディングは全く手を付けていなかったので、ほとんど知られていない状態でした。

もっと多くの方に知ってもらおうと思った時に、広告は大手企業さんがタレントを活用して多額のコストを投下している中で勝てるのか、と何から手を付けていいか悩んでいました。

そんなときに、ユーザーとして「逆面接」の動画を見て、すごく面白いなと。言葉では、企業が選ばれる時代になる、と言ってきたのにイメージまではしきれておらず、「こういうのを自分は見せたかったんだ!」と思い衝撃を受けました。この作品を作ったPICORE社の小塩さんと過去一緒にお仕事をさせていただいたことがあり、思い切って連絡して、今回のショートフィルム制作につながりました。

上田:縦型ショートフィルムは、TVCMなどに比べると制作・配信コストも抑えられることが多いです。だからこそ、これから認知を強化していきたい、という方には興味を持っていただきやすいものになっています。

ただクリエイターにとっては、企業との案件は非常に難易度が高いです。企業にとって意味があるかつ面白いもの、を作る必要があるので、面白いショートフィルムを作れている監督でも、企業案件だといまいちになってしまう場合もあります。

佐藤:今回制作いただいた「〇〇系転職」もミライフが何を大事にしているのか、を話して提案いただいたもので、最初はこの話だけで映像ができるのかな?と思っていました。実際に制作いただいたものを見ると、面白いだけではなく僕達エージェントから見てもあるある、となるもので非常に良かったです。

上田:企業が何を大切にしているのか、という本質をきちんと聞き出すことが重要ですね。

小塩:横で見ていて思うのは、クリエイターのみなさんはリサーチへの意識が非常に高いです。ショートフィルムという物語にすると、CMのようなインパクト重視なものよりもリアリティがより重要になります。

上田:作品には一定のSF要素が入っているので、嘘の部分が含まれます。嘘を上手に交えるためには、本当のことをちゃんと知らないといけないですね。

佐藤:撮影に関しても、1分の動画を作るためにほとんど1日がかりでこだわりがすごいなと思いました。

上田:長く残るものを作る、という意識があるので、品質を高くすることにはこだわっています。映画から入っているからこそ、1分の作品でも同じような感覚でできているのかもしれません。

あとはスマホで視聴されるので、ユーザー視点にできるだけ近い状態でと、スマホで撮影しています。

ーー公開してみての反響は

佐藤:1作品目がミライフのYouTubeだけでも60万回以上再生していただいていて、インパクトを感じています。

動画を見てくれた周りの人から、「ミライフっぽいね」と言ってもらえることがすごく嬉しいです。らしさを表現できているのであれば、それはまさにブランディングでやりたかったことだなと思います。

上田:ミライフを紹介するときにずっと使えるものであれば良いな、と思って作りました。会社を紹介するときに、まずはこの1分の動画を見てください、とするほうが事務的に説明していくよりも楽しいじゃないですか。

佐藤:まさにそうで、ミライフのやっていることをただ紹介するのではなく、大事にしている考え方が伝わるようなものにできたと思っています。

ーー今回のショートフィルム制作で大変だったことは

上田:いつも大変なのですが、今もミライフ向けの3本目を制作中です。2−3本企画案を作ったのですが、一旦白紙にしています。企画作りは毎回大変です。

以前に三井住友カードさんから、タッチ決済を訴求する動画を作成したいというオファーがありました。タイパが良いことを訴求したいと言われたのですが、タッチ決済はどこもタイパが良くて。機能がどこも変わらないなら、「この会社いいな」と思ってもらえるような作品にしたほうが良いと考えて、話しながら制作しました。

企業のこうしたい、に対して、それでいいのかなと思ったらきちんとコミュニケーションを取ってすり合わせていきます。知らない世界を知っていくことは面白いですね。

「企業と顧客のコミュニケーション」の未来とは

ーーAIは企業と顧客のコミュニケーションをどう変えるのか

小塩:AIが進化すると、人がコンテンツを自分で探さなくなります。これまでだと、レストランの情報を探すにもいろいろなサイトを見て比較していたのに、AIに聞いたらこれまでの傾向や好みを踏まえてここが良いと思う、とおすすめしてもらう形になる、というイメージですね。

そうするとコンテンツを出す側は、AIが選んでくれるような高品質なものを提供しないといけなくなります。お金を出して広告を活用して情報を届けることから、とにかく良いものを作ればAIが見つけてレコメンドしてくれる、という世界観に近づいていくのかなと思っています。

佐藤:私は働くをテーマに仕事をしていますが、仕事でも同じだなと。有名だから人が集まるのではなく、良い会社だから人が集まる、によりなっていきそうですね。

ーー100年後も顧客に愛される企業に必要なことは

上田:チャップリン監督の「モダン・タイムス」という映画が100年くらい前の作品なのですが、今7歳の子どもと一緒に見て僕も楽しいし子どもも面白がって見ていたんですよね。

その特徴はなんだろうと考えたときに、普遍性と先見性の両方があるものかなと。特に普遍性は海を渡れる感覚があるとより良いのかなと思います。「モダン・タイムス」も海外作品ですが、日本でも面白いと思われているものなので。

そういう作品をこれからも作っていきたいなと思います。

おわりに

情報が溢れている今の時代に、企業が個人とコミュニケーションを取っていくためには何が大切なのか。その一つの考え方が紹介されました。ブランディングやコミュニケーションに興味がある方の参考になっていれば幸いです。

また、ミライフ公式noteでは、キャリアチェンジに役立つ情報を様々な観点から発信しています。

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